出っ歯(上顎前突)は
どのような不正咬合か?
上の前歯が前に出ていて、口が閉じにくい症状がある上顎前突は、その見た目から出っ歯と呼ばれています。歯列にコンプレックスを抱えている方としては叢生に並んで多い症例です。
出っ歯は口元の見た目の問題に意識が向いてしまいますが、実は他の口腔疾患への影響が懸念される不正咬合でもあります。
コンプレックスの解消と共にご自身の歯を守るためにも、出っ歯の矯正治療はとても重要であると言えます。
出っ歯の原因
まずはどうして出っ歯になってしまうのか?その原因について触れていきます。
- 骨格的な問題(遺伝による骨格やバランスによる問題)
- 悪習癖(指しゃぶり・下唇を噛む・爪を噛む)
- 舌癖(舌突出癖など)
- 口呼吸
主に先天的な骨格の問題や悪習癖が出っ歯の原因です。
骨格的な問題である場合は顎変形症の疑いも考慮して治療の判断を行う必要があります。
出っ歯による歯列以外の弊害
出っ歯は単に歯列だけの問題ではなく、他の口腔疾患に繋がるリスクがあります。
口が閉じにくいため、虫歯や
歯周病のリスクが高まる
出っ歯であることにより口が閉じにくくなります。
その結果、口腔内が乾燥してしまい唾液の力(お口の洗浄機能)が機能しなくなります。
また、虫歯や歯周病のリスクが高まってしまいます。
奥歯に負担がかかり、破折や
顎関節症のリスクが高まる
噛み合わせには体重ほどの負荷がかかると言われていますが、前歯が噛み合わないため、その負荷が奥歯に集中してしまいます。
その影響が歯の破折や顎関節症のリスクを高めてしまいます。
転倒時の破折リスク
前歯が突出しているために、転倒時に破折するリスクが高まります。
正常な歯列の人に比べて50%破折リスクが高くなると言われています。大切な歯を守るという意味でも、出っ歯の矯正治療は有効となります。
出っ歯の矯正治療について
大人の出っ歯の矯正治療
出っ歯の矯正治療では、
- 上の前歯が突出しているのか
- 下顎が後ろの位置にあるのか
を検査によって判断することが重要になります。
上の前歯が突出している場合は上顎の小臼歯を抜歯し、出来たスペースを利用して後方に歯を動かします。下顎が後ろの位置にある骨格的な問題である場合は、外科矯正を検討することもあります。 また、悪習癖によって出っ歯になっている場合は、MFT(口腔筋機能療法)を行い、悪習癖の改善も同時に行っていきます。
子供の出っ歯の矯正治療
子供の出っ歯に対しては、
- 歯の傾きの改善
- 下顎の成長を前に誘導する
- スペースがない場合は拡大を行う
- 悪習癖による場合は、MFT(口腔筋機能療法)を行う
これらの観点で矯正治療を行います。
叢生を併発しているケースも多々存在しますので、幅を広げながら歯列を改善することで双方ともに改善されます。