- 歯の神経にはどんな役割がある?
- 歯の神経を抜くとどうなる?
- どういった場合に歯の神経を抜くのか
- 神経を抜いた歯の寿命は?
- 神経を抜いた歯の寿命が短くなる理由とは
- 歯の神経を抜かないために当院で出来ること
歯の神経にはどんな役割がある?
痛みの伝達
なるべく感じたくない「痛み」ですが、虫歯などや歯周病などのトラブルを教えてくれるサインです。「痛み」を感じることで、口腔トラブルに気付くことができます。
歯に栄養を送り、丈夫な歯を維持
歯質に必要な栄養・酸素を送ることで、咀嚼に耐えられる歯を維持しています。
歯の色を保つ
エナメル質は半透明ですので、象牙質の色が透けて見えます。これが、歯が白く見える理由です。象牙質の健康は、歯にとって不要な物質を除去したり栄養を届けたりする神経の働きによって、維持されています。
歯の神経を抜くとどうなる?
歯の神経を抜くと神経の役割が全て失われてしまうため、以下のような状態になります。
- 痛みや冷たさなどの自覚症状がなくなるため、受診・治療が遅れる
- 歯が弱くなり、割れやすくなる
- 虫歯菌が繁殖しやすくなる
- 象牙質の色が変わり、歯全体が黒っぽくなる
どういった場合に
歯の神経を抜くのか
虫歯が神経まで到達した場合
虫歯は発症すると少しずつ奥へ進行していき、神経まで到達します。神経が虫歯の原因菌に感染してしまうと、激痛が走るようになります。
神経が壊死する可能性が高くなるため、神経を抜く必要があります。
歯根に膿が溜まった場合
歯根が細菌に感染すると、その先端部分に膿の入った袋ができてしまいます。そうなると激痛が起こるようになるため、神経を抜かなければいけません。
重度の知覚過敏になった場合
知覚過敏とは、虫歯や神経の炎症がないのにも関わらず、冷たいものや歯ブラシの毛先に触れた刺激によって、歯がしみてしまう状態です。
歯のエナメル質の内側にある、象牙質がむき出しになってしまうことが原因で起こります。
基本的に知覚過敏の治療を行う際、神経は抜きません。しかし、重度の知覚過敏がある場合は稀に、根管治療を行うこともあります。
神経を抜いた歯の寿命は?
神経を抜くと栄養や水分が歯に届かなくなるため、天然の歯よりも寿命が約10年短くなります。平均の生存期間は、5~30年だと言われています。
ただし、歯の寿命は神経があるかどうかで決まるものではありません。毎日の歯磨きや定期的なメンテナンス次第では、一生涯に渡って歯を使い続けることもできます。
「歯の神経を抜いたからもう終わり」と考えずに、これからも引き続き、丁寧なケアを継続して歯を守っていきましょう。
神経を抜いた歯の寿命が
短くなる理由とは
虫歯を自覚しにくくなる
痛みなどの自覚症状が現れなくなるため、虫歯の発見が遅れ、さらに歯の寿命が短くなってしまう可能性があります。
歯の根が割れやすくなる
歯に栄養が行き届かなくなるため、噛む力に耐え切れなくなり、割れやすくなります。また、金属のコア(かぶせ物の土台)と接触することによって、歯が割れてしまうケースも存在します。
根の先で細菌感染を起こすことがある
根管治療で残ってしまった細菌、もしくは治療後に根管の中へ入った細菌によって、「根尖病変(こんせんびょうへん:歯の根の先が病気になってしまった状態)」が起こるケースもあります。
自分の歯と被せ物の境目に汚れが溜まる
ご自身の歯と被せ物の境目に、食べカスや汚れが溜まりやすくなります。きちんとケアを続けないと、虫歯リスクが高くなる恐れがあります。
歯の神経を抜かないために当院で出来ること
先述したように、歯の神経を抜くと、あらゆるリスクが生じやすくなります。そのため当院では、歯の神経を抜かない治療法を行っております。
神経を抜かない治療法は「ドックスベストセメント」と「MTAセメント」があります。
ドックスベストセメント
ドックスベストセメントとは、アメリカで開発された治療方法です。まだ歯科業界で普及されている治療法とは言えませんが、当院では積極的に行っております。
一般的な虫歯の治療法とは異なり、セメントに含まれている鉄イオン・銅イオンの力で、虫歯菌を無菌化する治療法です。虫歯になった歯を削る必要はほとんどなく、神経も取り除かずに済むことから、歯の寿命を長く維持させることができます。
MTAセメント
MTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメントとは、1998年にアメリカで販売された歯科用セメントです。日本では2007年に販売されるようになりました。
成分は建築用セメントと似ており、水と反応して膨らむ特徴を持っています。虫歯が神経・血管にまで到達した歯や、亀裂が入った歯を治療するのに用いられています。
封鎖性が高いだけではなく、「人の身体に馴染みやすい」「細菌を寄せつけない」というメリットもあります。